江別市立大麻中学校との交流
2009年10月、江別市立大麻中学校の3年生道徳担当の先生から、札幌遠友塾の活動を教材に使って授業を行いたいとの申し入れが寄せられました。
それには授業の「ねらい」についても、書き添えられておりました。それはつぎの二点です。
- 今の現状に満足するのではなく、自分に厳しく前向きに生きることの大切さを分からせる。
- 夜間中学について理解し、学ぶことの意義を考える。
私たち遠友塾は、大麻中学校からの申し入れをうれしくお受けしました。
私たちは、向陵中学校で授業ができるようになったことで、遠友塾の「学びの場」が、先生や生徒さんたちからの励ましや、PTAや町内会などのご支援を受け、支えて下さる方の輪が広がったと感じています。
そのような関係が、地域は違っても、ほかの中学校でも授業に取り上げてくれることで更に広がっていくことは、大変うれしく、私たちにとっても励みになり、有意義な事であると感じました。
そして、大麻中学校の先生が作成した資料「夜間中学」と、NHKが放送した『生活ホットモーニング もう一度学びたい』と『一期一会』のDVDを使った授業が、2009年10月8日(木)と10月19日(月)の二回に分けて行われました。
『もう一度学びたい』は、じっくりクラスの伊藤フサ子さんが作文発表をした「生きてきてよかった」の様子を、たまたま取材に来ていたNHKが、2008年4月8日の番組で放送したものです。(「じっくりクラスの作文発表」へ)
『一期一会』は、3年受講生の伏見裕子さんが、中学校で不登校でありながら遠友塾で勉強するようになった気持ちを、「いちご」さんとして、中学卒業するとすぐ女子プロレスラーを目指す「いちえ」さんとの会話と交流を通じた番組で、2008年10月25日に放送されました。
その伏見さんの気持ちは、「全国夜間中学校研究会研修交流会(2009年7月26日)で述べられております。伏見さんは向陵中学校を使った授業を元気に受けており、中学校に通うことになり「やっと私はあの過去を思い出の一つにできたような気がします」と話してくれました。(「研修交流会の参加報告」へ)
お礼の手紙と生徒さん達の感想
大麻中学校3年生4クラス(159名)の授業を終えられ、先生のお礼の手紙と生徒さん達の感想が遠友塾に送られてきました。
お礼の手紙
以下がいただいたお礼の手紙です。この手紙は、10月21日(水)の始めの会で、「うれしいお知らせ」として受講生やスタッフに紹介いたしました。
この授業を通して、夜間中学の存在を初めて知った生徒も多く、「何のために勉強しているのか?」「何のために進学するのか?」など、普段あまり考えることのない疑問について考えさせることができました。生徒の多くは、「ただ何となく…」「まわりのみんなが高校に行くから…」「親や家族が行けと言うから…」「良い就職のためには、とりあえず高校に行かないと…」など進学する目的や勉強することの意味がはっきりしていない状態です。
中学3年生は、今後、12月の三者懇談で、初めて自分の進路を選択することになります。自分の進路を自分で決定できるように支援し指導して行くのが我々の役割だと考えます。あと数ヶ月で義務教育が終わろうとしている、中学3年生のこの時期に色々なことを考えるきっかけを与える授業ができて良かったと思います。
本当に良い授業ができました。ありがとうございました。生徒だけでなく、我々、教員にとっても勉強になりました。
生徒さん達の感想
また、授業での設問『3年生のほとんどが、進学希望(高校へ)です。あなたは、何のために高校へ進学するのですか?この授業、DVD(一期一会)を見た感想を書いてください。』に対し、生徒さんたちが書かれた回答も掲載のご了承を頂きましたので、その中から一部をご紹介させて頂きます。
高校に進学するのはやりたい仕事があるから。
感想は、やりたくてもできなかった勉強を大人になってから始めるのはすごいなと思ったし勉強を楽しんでやってたのでよかったと思った。
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- 自分がなりたい職業につくのに知識をつけた方がよいことや、自分一人で人間関係を上手に行っていくときの勉強にもなる機会となるから。
- 勉強をしたい、楽しいと思える人、勉強をしなくても自分の夢がある人がいて、勉強しなくとも夢を持ってそれに向かう人がいることが分かりました。学ぶことの大切さは人によって違うと思いました。
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高校でやりたいことがあったし、勉強することが大事だと思ったので高校に進学します。
このDVDを見て、勉強することの意味や、大切さを改めて考えさせられました。
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社会にでて困ることがないようにするため、高校に進学しようと思っている。
DVDを見て、社会にでてからの勉強の必要性をもっと感じた。でも一番大切なのは、興味をもって楽しく学ぶことなのかなあと思った。
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「何でだろう」、「きらいでも興味がある」などそう思うことが勉強のスタートだと思った。
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自分が楽しく納得した生活を送るために自分の知識をより深め新しいことを学ぶことが必要であり、学ぶための場所として高校があるんだと思うから私は高校へ進学したい。
自分で学ぼうとする意志などを大切にし自分にプラスになるようにがんばることが必要なんだなと感じた。
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将来、仕事をするときに困らないようにするため。
いろいろな事情があって、勉強をしたくともできない人が、大人になってから勉強をして、「楽しい!!」と思ってやっている人に対して、「この問題ができない」とかの理由でやめていくのはおかしいと思う。
けど、イジメで学校にいけなくなる人はしょうがないけど、ちゃんとイジメをなくして楽しく勉強できる環境をつくるべきだと思う。
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高校に行った後までは考えていないし、なぜ進学するかと聞かされると自分も答えに困ると思うのでこれからそういうことも考えないといけないなと思った。
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自分の将来の夢をかなえるため。
昔、理由があって勉強することが出来なかった人が、きっかけを自分でつかんで学ぶ楽しさを見つけだせるのはすごいと思う。
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ここにいる大半の人がそうなように、行かなきゃだめなものと思い込んでいる所や、友達と高校に行きたい気持ちもありますが、高校に行けば、勉強はもっとつらいし、苦しむ事も沢山あるかもしれないけど、新しい人との出会いや、そういった楽しみが一番にあるからです。
中学3年生という大事な時期に、遠友塾の存在をとおして、生徒さん達の心の中に、何か一つでも思いが残せたら嬉しく思います。
よろしければ、いつでも皆さんで見学にいらして下さいね。
このような授業を行って下さった大麻中学校の皆様に深く感謝致しております。ありがとうございました。
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