新入生のメッセージへお礼
今年の向陵中学校新入学生からいただいた、遠友塾へのメッセージは61通ありました。そのすべてを受講生とスタッフに配布し読んでもらいました。
各クラスからそのお礼の言葉が寄せられましたので、ホームページに掲載をし、「遠友だより」でお知らせしていきます。
向陵中学校1年生の皆さん
1年 高井康子(77歳)
向陵中学校一年生の皆さん始めまして。先日は心籠もった激励の文を大勢の方々から戴きこみ上げる物を感じました。有難うございました。
そして気付きました。丁度あなた方の年令の頃わたしは終戦を向かえ愛知県から北海道の北の端、猿払村に移り住む事になったのです。一年生から6年までが一つの教室でした。卒業生は5人で、たった3ヶ月しか通っていない私が優等生でした。
学校はそれが最後でした。漁師の小さな部落で中学校までは何里も歩かないと行けませんでしたが慣れない漁師のお手伝いを一生懸命にしました。はっと気が付いた時はもう就学年齢は過ぎてしまっていました。
何度か通信高校に挑戦しましたが中学の勉強を受けていないので、英数はさっぱり解りませんので断念しました。
今年3月に夜間中学の存在を知って、跳び上がるほど嬉しかったです。そして同級生(来年は先輩)の皆さんに励まして頂いて最高に幸せを感じています。北九州には毎晩授業が行われている夜間中学校があるそうで北海道札幌にも出来たらいいなあと思っています。
先週の授業で、「グッドゥ、イーヴニング、エヴリワン(みなさん、こんばんは)」を習いましたよ、あなた方も習ったでしょう。
早速ご挨拶しています。習ったことは即使う、それが私流です。あなた方の帰りの校門で “Good evening everyone.” と声を掛けられたら多分私です。
年取ってからのお勉強は覚えにくいです。すぐ忘れてしまいます。だから出来れば若い内にたくさんの知識を吸収する事がよい事です。勉強はとても楽しいです。そしてとても大事な事です。がんばってたくさんたくさんお勉強しましょう。ありがとうございました。
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向陵中学校1年生の皆さんへ
3年 橋詰 征子
孫からいただいたような皆さんからのかわいい暖かな励ましのお言葉を大変嬉しく、感激の涙をにじませながら読ませていただきました。私は1945年日本が無条件降伏で戦争に負けた時生まれました。私の中学1年の時は1クラス55人から60人で暗くて黒板の字も良く見えない冬はとても寒い木造の校舎でした。私の育った北のはずれ稚内市には、当時、普通高校と商業高校が有りましたが私立の高校は有りませんでした。学力があっても家のつごうで進学をあきらめなければならない人、恵まれていても学力が不足で進学が出来ない人、他校も合わせて半分強の人が高校へ行けませんでした。
当時は、中学を卒業すると東京方面に集団で就職していった時代でしたから進学しなくても普通と思われまた考えられていましたが、年々進歩をとげて行く日本の社会も私のように高校を卒業しない者は、どんなに仕事を一生懸命頑張っても認めてもらえない社会にいつのまにか変わってしまっておりました。皆さんと同じ中学生であった私も半世紀の時があっと思う間に過ぎてしまいました。
二年前新聞で遠友塾の事を知り今度こそ真剣に取り組んでみたいと思う気持ちが強くなり塾生のひとりとして入塾させていただきました。
一回目の数学を塾長の工藤先生が教えてくれました。授業のお話しの中で私達は物事を正しく理解して日常使っていることより慣れて使っている事が大変多いと、話して下さいました。私はその通りと身の引き締まる思いでした。
数学の繰り上がり繰り下がりの勉強をする時サイズを小さくした新聞紙を10枚一束として10束を黒板の上から下げたとき、どうしたら私達に理解してもらえるだろうかと思う先生の思いやり一杯のお人柄に接し感激と感動をおぼえ一生の思い出となります。その時、私は数学は数字の問題でなく符号の問題ではと思うようになりました。「+-×÷」で、また左右に移行する事で数字が同じでも、どのようにでも数字は変化して行く事に気が付きました。
私はもう一度中学の数学を勉強してみたくなり教科書に似た本や解読書を何回も何回も読み夫や森先生に教えてもらいながら少しづつこつこつと努力し半年位いかかりましたが何とか中学で学ぶ基本的な事が理解出来るようになりました。文字に隠された未知数が解けた喜びと感激は65歳になった初めて知る経験でした。努力すれば出来るかな〜と思うと欲が出ました。中学生に戻ってやり直すことの出来ない人生なら、やり残した事を今から始めようと思い皆さんが中学1年になった同じ時、私も半世紀遅れの有朋高等学校1年生に成りました。私達と机を共にする喜寿の77歳を迎え遠友塾に来てからABCを学び今尚も有朋高等学校4年生として努力をする素晴らしい姿を見せてくれる学友、私達のために心を砕いてご尽力下さる先生、スタッフに恵まれて二度目の中学の勉強が出来る私は大変幸せだと思います。
私が遠友塾で反省をしながら勉強をして感じたり思った事、そして実践した事は、勉強はむずかしいかも知れないが、分からない、出来ないを積み重ねてしまわずに分かろうとする努力を一日に少しづつする事、漢字はゆっくり丁寧に正しく書いておぼえる事、日々の生活で一生必要とされる事です。国語辞典を友とし漢字や言葉の意味を調べているうちにかなりの物知りになれます。こんな少しの事が努力する事で毎日の習慣となって身に付くと分かる事が多くなると勉強も楽しいものの一つと思えてくると思います。
中学で学ぶ事は社会人となるための基礎勉強ではないかと思います。私も英語の基本が出来ていないのでどう乗り越えて行こうかと不安一杯ですが最後まであきらめず皆さんに負けないよう精一杯の努力をして頑張りますので応援よろしくお願いいたします。
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