向陵中学校での公開授業
「授業の動機」と「道徳の授業として」
授業者(担任教員)がその公開授業にあたって書かれた「授業の動機」と「道徳の授業として」を紹介します。
また、授業者から、授業の最後にいただいた言葉もあわせてご紹介します。
●授業日時
2008年10月10日(金)3校時
●場所と参加者
札幌市立向陵中学校
1年1組 37名
授業の動機
札幌には、戦争や病気など様々な理由で学ぶことのできなかった人達が、毎週水曜日の夜、教育文化会館の会議室を教室にして学ぶ学校があります。それが自主夜間中学「札幌遠友塾」です。
私は、あるきっかけで、校長先生からこの取り組みを紹介するDVDをお借りすることとなりました。せっかくなので、1学期、1年生の道徳の授業にこの映像を生徒たちに見せました。生徒たちは、思いのほか、真剣に画面を見つめ、後に書いた感想文では、学べることの喜びや、学校に通えることへの感謝が、素直な気持ちとしてつづられていました。
私自身も興味を示したところ、この夏、本校の教室で、試験的に授業が行われることを知りました。ちょうど夏休み中で、部活動の練習が終わった直後でしたので、私自身その日の授業の最初のほうを見学させていただきました。授業は夕方6時からと聞いていましたが、すでに5時過ぎごろから、多くの生徒さんたちが2階の廊下を歩いてきました。皆さんとてもお顔が輝いているように見え、この日をどれだけ待ち望んでいたかが、ひしひしと伝わってきました。そのとき、生徒たちにも、この様子を是非伝えてあげたいと思い、今日の授業となりました。
道徳の授業として
1学期に生徒に見せた映像では、生徒の一人である伊藤フサ子さんの姿から、「学ぶことの大切さ」を生徒は素直に感じ取ってくれました。今回も同じ伊藤さんがVTRに登場しますが、もう一人VTRに登場する工藤慶一さんの側から考えてもらおうと思いました。19年間願い続けてきた学校での授業。その第一歩に当たって、これまでの取り組みをあらためて振り返る工藤さん。様々な困難にあたりながらも、今日まで工藤さんを支えてきたものは何だったのか。その生き方に生徒たちが触れることによって、彼らが学ぶものもあると考えました。ねらいは「くじけない心、信念を貫く」としましたが、今日の授業を通して、生徒自身がいろいろなことを感じ取ってくれればと思います。
▲質問の打ち合わせをする生徒たち
*授業者から授業の最後にいただいた言葉
「私自身、遠友塾が学校の教室を、今後も試験的ではなく、継続的に使えることになってくれることを祈っています。そうなることは、生徒たちにとっても、今回の自分たちの授業が、励ましのメッセージが役に立ったのだという気持ちになり、自分たちの達成感を感じ取ることにつながるのではと思います。きっと
生徒たちも、その日が来るのを願っていると思います。」
▲生徒の質問に答える工藤代表
▲授業最後にお礼を述べる工藤代表
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