札幌大学での講義
札幌大学では、芸術、出版、スポーツ、社会・文化運動などをプロデュースするための「アート・プロデュース論」の講義がおこなわれています。
札幌大学増田敦教授の講師紹介や予備学習の講義の後、札幌遠友塾の活動をその開設から続けてきた工藤代表が、「遠友塾への思いとこれから」をテーマにした講義をおこないました。その講義を聴講した学生さんから感想が寄せられましたので、そのいくつかを掲載します。
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私みたいに、小中高大とストレートに通い、親にお金を出してもらい、学校に行けなくなった経験も特になく、今、大学の授業を受けている環境にあるのは恵まれていると感じます。それは、今日のアート・プロデュース論を受けに来なければ、本当にわからなかったことで、小さなことで悩んでいる私は、本当に小さい人間だと心底思います。親にも今の何倍も感謝しなければいけません。
私の地元は夕張です。夕張にも、義務教育を受けられなかった高齢者の方、絶対にいると思うんです。もう亡くなったのですが、私の祖母もそうでした。話すことは、周りの言葉を聞いて、幼い時に何とか出来たらしいのですが、漢字があまり書けず、字を書くのもやっとでした。今、この授業を受けて、祖母を含め、家族が何故、私が、勉強することに対して応援してくれているのかが、少しわかった気がします。祖母や家族の期待に応えられるように大学生活を楽しみたいと思います。
ビデオは、遠友塾に通っている皆さんが「笑っている」イメージが強く、心があたたかくなりました。若い人から、高齢の方まで、皆が一緒になって学ぶ姿は、今の教育に必要なことで、このことが、当たり前になれば日本の教育はもっと変わってくると考えます。
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今まで字が書けなかった人が遠友塾のおかげで字を書けるようになったり、勉強ができるようになったりするのは素敵なことだと思った。
DVDの写真を見て、みんな笑顔だったから本当に勉強が楽しいだろうな、と思った。
日本に字が書けない人、読めない人が本当にたくさんいることにびっくりした。戦争は勉強にまで影響してくるのだな、と思った。
もっと夜間中学が増えるといいと思う。スタッフの人たちは遠友塾以外にも、たくさんの仕事があるのにすごいと思った。クリスマス会、遠足、楽しそうでいいと思う。
遠友塾はいろいろな人の助けがあってこそなんだなっと思った。
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戦争によって勉強することができないというのは、昔も今もあります。学ぶことは大切で、学ぶことができるのは、幸せなことだと改めて実感しました。遠友塾で学んでいる方の真剣な表情を見て、本当に学びたいという思いが伝わってくるようでした。
全国で、まだまだ夜間中学校が知られておらず、広まっていないという現状があります。しかし、この活動は、必要とされていて、積極的に支援されなければならないと思います。地域の人々や遠友塾を支えてくれる人がもっと増えていけば、よりよい教育環境ができます。これは行政の力も必要不可欠になっていくと思います。
学びの喜びを知ったとき、人は笑顔になったり、感動を覚えたりします。遠友塾には、このような経験をすることができる素晴らしい空間・場所だと思いました。人とのふれあいが一番大事だということが、今回のお話の中で心に残りました。これからも遠友塾の活動が続いていくことを強く願います。
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戦争が小学校未修了者をこんなにも増やす要因になっていたのだと知った。戦後60年というと、もう過去のことだと考えていたが未だに北海道だけでも1万人いた。
DVDで、虫めがねで辞書を見ている姿は、勉強がしたいという強い意志が伝わってきた。また、虫めがねが必要な年齢まで義務教育が受けられなかったという現実をつきつけられた。
遠友塾で学んでいるおじいさん、おばさんは生き生きとしていて、少年少女時代の姿が重なって見えた。
遠友塾は20年間の歩みの中で、地道に活動を続けてきて理解や共感を集めてきたのは「学び」についての強い信念があるからだろう。
塾生は年配の方の他に若い人もいて、公立の夜間中学校とは異なり、学びたい人すべてのための学校だった。「遠友塾」という校名はこのような特色によくあっていると思う。
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我々が、普段何の不自由もなく行っている「字を読む」「字を書く」という、我々にとって当たり前のことが、当たり前でない人々が今現在も存在するということを認識した。
人間が生きていく上で、「学ぶ」とはどういうことなのかを改めて考える必要があると思う。
かつて日本が戦争をしていた頃、教育というものがどういった扱いを受けていたか、そして、その中で子どもたちのその後の人生にどんな影響を受けたか、それは私の想像を絶するものだろう。
夜間中学の活動は、確実に求められ、必要な活動であると思う。
今回の講義で、私は、自分の思っていた当たり前の常識が当然でないことを知った。
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