北海道自主夜間中学フォーラムの報告
期日:2012年9月29日(土)
会場:釧路市生涯学習センター
主催:釧路市
協力:釧路市自主夜間中学くるかい・北海道に夜間中学をつくる会
後援:北海道教育委員会・札幌市教育委員会
内容
1.基調報告
見城 慶和さん
2.生活体験発表
札幌遠友塾、旭川遠友塾、函館遠友塾、釧路くるかい各1名
札幌遠友塾3年 髙井 康子さんの体験発表
函館遠友塾、旭川遠友塾の皆さん、釧路くるかいの皆さん、こんばんは はじめまして。
札幌遠友塾から来ました髙井と申します。こうして皆さんにお目にかかれるのも2010年3月、北海道新聞を見て『あっ、夜間中学があるぞ』と息子が見つけてくれたのが、遠友塾との出会いでした。早期癌で肺の一部を切除して4ヶ月足らずの時でしたから「まさか行くとは言わないだろう」と思ったようでしたが、早速お電話して入学させていただきました。とても嬉しかったです。その時「よーし これでよし」と一人でガッツポーズしたことを覚えています。
1945年終戦の為、愛知県の大きな学校から北海道猿払村に移り、小さな1年から6年生まで一つの教室で寺小屋みたいな学校で6年生を卒業しました。卒業生は5人で、私は優等生でした、以来学校には行っていません、行けませんでした。
少し余裕が出来た頃、勉強が好きな私はNHK学園に申し込みをしましたが、悲しいことに中学校の勉強をしていないので、全く何にもわからなく、とても無理とあきらめながら、再度三回試みました。その頃は費用も結構かかりそうでしたので、ついにあきらめていたところでした。
戦後65年ぶりに遠友塾を知りお世話になりました。今迄色々とお稽古事はしてきましたが、あきてしまって長続きしませんでした。お勉強はあきません、とても楽しい時間です。そして楽しい素晴らしいお友達もたくさん出来ました。
クラスのマドンナMさんはトルコからお嫁に来たピチピチの美人で、英語の時間に発音指導をしてくれて、生の英語にふれる事が出来ます。又数学の割り算の書き方が全く違う事を話してくれたり、風習の違い等、気軽に話してくれます。
ご主人の経営する果樹園に 皆でさくらんぼ狩りや、ぶどう狩りに行くのは年中行事の一つです。また漢字検定の資格を持っているAさん、ロック・クライミングで海外各地を巡っているⅠさん、裕次郎を彷彿とさせ酔わせるKさん。それぞれ個性豊かで明るく、そして勉強熱心なお友達です。他にもいっぱいいらっしゃいますが、紹介するには時間が足りません。クラス一のムードメーカーK氏は会社経営の若い現役社長ですが、いつもユニークな質問をなさったり、先生と漫談もどきになったりして、楽しませてくれます。
なんと言っても存在感抜群のSさんは、クラスの肝っ玉母さん的存在です。1年の時でした。私が寒がっているのを見て、ホッカイロを渡して下さったのです。ご親切な人柄にすっかり心が暖かくなって、寒さが吹っ飛んでしまいました。カイロはいらなくなってしまいましたが、今でもそのカイロは私のカバンに入っています。寒がっている人を見たら差し上げたいと思っています。彼女は遠足や皆で出かける時は、どっさりご馳走を作って、氷からおしぼりまで、大荷物を背負って来てくれます。足の悪いお友達には歩幅を合わせて、面倒をみたり、とてもしんせつにお世話をされています。私には彼女の顔が女神様に見えてしかたありません。
素晴らしいお友達に会える水曜日、今まで何気なくわかったふりをして過ごして来た数学・国語・社会の事や、全くわからない英語等わかりやすく教えて頂けて、とても充実した時間を過ごしています。
楽しい中学生生活をさせて頂いていましたところに、夜間高校と通信制高校へのおさそいのお話を聞きました。
「当然中学を卒業してから」が本来なのですが、年齢が年齢なので何とかお願いをして、通信制高校に入れて頂きました。
現在遠友塾3年生、有朋高校2年生の身分となって、毎日お勉強三昧の日々ですが、コチコチに硬くなってしまった頭ですから何回も何回も繰り返し教えて頂かないと理解できません。噛んで噛んで、含めるばかりに教えて頂いて、何度も何度も繰り返し教えていただいて、やっと解けた時の快感は嬉しくて一人で万歳したりします。でも残念な事に充分わかったと思いながら、間もなくすると、すっかり忘れてしまいます。歳って恐ろしいです。
私ってこんなに「馬鹿だったんだ」とやっと気づきました。先生方の大きなとても言尽くせないだけのご協力をいただいて、現在楽しい学生生活を送っております。まさしく只今青春まっさかりです。
いじめや、不登校、病気などでお勉強が出来なくて悲しいお話を聴くたびに、私はテレビに向かってさけびます。
「夜間中学にいらっしゃい」、「遠友塾にいらっしゃい」そして高校に行き立派に社会に出ている若い人達が一杯います。
今、先生方は夜間中学を増やそうと尽力なさっています。いつでも学びたいときに学べる場所が沢山出来て、悩んでいる子供たちが伸び伸び勉強できたらいいですね。もし地方にも、(私は稚内でしたが)こんな中学があったら、もっと若い内にお勉強が出来たのにと残念に思ったりします。おきき苦しい話を聴いてくださって、ありがとうございました。
3.ワークショップ
ワーク1:自己紹介「夜間中学との出会い」
▲参加者全員の自己紹介
ワーク2:「花咲け出愛!私の夜間中学」
▲グループ14のワークショップ
▲グループ13のワークショップ
▲グループ13のワークショップ
▲グループ13のワークショップ
4.発表・講評
見城さんは、みんなに感謝を込めて、『ふるさと』のハーモニカ演奏をしました。
髙井さんの生活体験発表への講評です。
髙井さんは何があっても長続きしなかったけれど、遠友塾に入って勉強だけはこんなに楽しいもんだと、通信制教育の有朋高校に今通って、若さいっぱい、年を忘れて勉強している、すばらしいなあと思いました。基礎学力がないと、どんな習い事しても長続きしません。例えば漢字が読めなかったら、お習字をいくら勉強しても面白くないですよね。勉強というのは、一生勉強なんですけども、髙井さんは本当に、若者のように顔を輝かせ、今、学んでいることが分かって心うたれました。
▲参加者全員の記念写真
札幌遠友塾参加者の感想
1年受講生 宮北 栄子 さん
先生・スタッフの皆さま、釧路でのフォーラム参加させて頂きありがとうございました。見城先生の貴重なお話し、代表者の体験発表と又グループでの話し合い私にとって初めての体験。とても勉強になりました。これからも一生懸命勉強したいと思っています。どうぞよろしくお願い致します。
2年受講生 中村 由紀子 さん
『北海道自主夜間中学フォーラムに参加して』
9月29日釧路にて、道内4自主夜間中学(函館、札幌、旭川、釧路)のフォーラムに参加して来ました。
初めに、東京都内で40年以上、夜間中学の先生をしてこられた見城慶和氏の講演とビデオの上映があり、本当に大変な困難をくぐりぬけて来られた事が解かり、その苦労を痛感しました。
2番目は生活体験発表が、各地区より1名ずつ行なわれ、札幌、旭川、函館と進み、特に釧路の塾生はフィリピンより来日、現在は入院中で病院からのメッセージが流され、異国で頑張っている姿に胸が締めつけられる思いがしました。なぜなら、私の甥の奥さんがその国の人だからです。
3番目はワークショップで、14ほどのテーブル毎に、テーマを設けその話し合いの中で今の自分達の思いを花にたとえて、その花を紙いっぱいに書き、それを壁に貼り、何故その花にしたかを説明する、と言う催しです。一見やさしいようで、意外と難しいテーマでした。
最後に、見城先生の総評ですべての幕がおりました。
自分の感想としては、私は幸運なことに、札幌と言う都会の学校に行けて、本当に良かったと思います。
今回参加された人々の中で、子供だからと言う甘えを許されない生活を歩んでこられ、学ぶ時をなくした人も多かったと思います。11才という短い人生で逝った私の兄の分まで、命ある限り、生きることの勉強に励みたいと念じています。
最後になりましたが、釧路“くるかい”の皆さん、本当にお世話になり、ありがとうございました。
3年受講生 浅野 京子 さん
9月29日に釧路の夜間中学フォーラム参加しました。「私と夜間中学」、私はなん年もまえからべんきょうをおしえてくれるところをさがしていました。友人から夜間中学があるのをしりました。その電話をおしえていただいき工藤先生におでんわをかけてしょるいをいただき、それをもって遠友塾にはいりました。
釧路でワークショップのグループにわかれて旭川の朝倉さん、函館の西村さん司会進行の今西さん、記録の伊藤さん、補助の小松さん、札幌の穂山さん、浅野とみんなで7名でお花のえをみて、みんなですこしでもかいたりいろをぬったりして穂山さんの花をいれたとき、すばらしくなりました。そのあと髙井さんのはっぴょうはすばらしいかったです。
みんなでしゃ真をうつしておわりました。
こんしんかいは、いざかやでかきは大きいぷりんとしたかきでほたてやホッケのちゃんちゃんやきすばらしい夕食でした。二じかいは、またみんなでもっていったものをにじかいのほうがもりあがっていました。朝食はすごいおかずでした。かえりのバスでびんごゲームでいろんなしなものがあたり、メラルさんからもらったリンゴとプルーンがあまくておいしかったです。ほんとうにいってよかった。先生スタッフのみなさんにおせわになってありがとう。
3年受講生 清野 智恵子 さん
ちょっと眠たいけれど、今日は修学旅行で釧路行き、道のりの長すぎてびっくりしました。「北海道自主夜間中学フォーラム」に参加と共に修学旅行、合わせました。
学校側の配慮にて、一号車を三年生だけにして思い出づくりのバスにして頂きました。
考えた事は、いっぱいあったけれど、どう進めて行って良いか迷っていると、バスの中での小塚婦美子さんの動き勉強になりました。大変お世話になりました、楽しかったです。
フォーラムでは各校からは一名づつ出ましたが我校は髙井康子さん、札幌遠友塾の旗も出て来て感激で涙が出ました。
又、見城先生のお話はとても解りやすく心にしみました、ハーモニカとてもなつかしく、とても心に残っております。
釧路の方々が用意して頂いた居酒屋さんの食べ物もとてもおいしかった。
大変、御苦労されたと思います、ありがとうございました。
泊まる所では、見城先生も来て下さいまして又、ハーモニカとてもなつかしくファンになってしまいました。
飲み物も、食べ物も、沢山あってとても、おいしかったです。
宮田先生と吉岡先生が作って来て下さり、とてもおいしかったです。又、お願いします。
生徒の心を読んでいろんな事に協力して、下さった先生方スタッフの方、本当にありがとうございました。
楽しい思い出がたくさん出来ました。
一生忘れぬと思います。
3年受講生
『釧路にいって』
初めての釧路はたのしみにしていました。バスにのって外のけしきを見ているといなか道をはしっているようでした。
髙井さんの体験や、東京から来られた見城先生のお話やビデオもたのしくはいけんし、また、とくにハーモニカえんそうが心にひびきました。
夜の食事ではじめてサンマのさしみを食べました。ほかもみんなおいしかったです。
朝おきてさんぽしていて船を見た時の大きさにびっくり。いつもテレビでみていたが、しんさいの人たちがサンマをとりにひなんしていた話をきき、かんどうしました。
市場でかいものをしましたが、みんなみてあるけなかったのがざんねんでした。
バスで札幌へ。きりの中はしるバスによろこんでいました。行きも帰りも天候もぶじ。札幌にぶじついて運転手さんにかんしゃしました。
3年受講生 石川 すみ さん
『釧路での生活体験発表会に参加して』
9月29日土曜、朝7時30分の集合でしたが私は集金係でしたので、7時前にJRの集合場所に行きました。行きのバスの中はビンゴゲーム、食事、トイレタイムと楽しかったり忙しかったり、交通事故の影響を受けて釧路の会場には、ぎりぎりセーフでした。
早速、北海道自主夜間中学フォーラムの開催です。内容は、42年間都内の公立中学校夜間部に勤務なさった講師の見城慶和氏による基調報告や心温まるお話しがありました。髙井さんの体験発表も明るく堂々としていて立派でした。次にワークショップは、4校から2名ずつのグループで話し合いと一つの作業を共同で仕上げました。どのグループも初めてあった方達と心が一つになったように思いました。
その後、懇親会・二次会は私たちの宿泊施設で、札幌で作っていただいたご馳走と飲み物を頂きながら、話に花が咲いたり歌を唱う人で賑やかで、とうとうミッドナイトでした。朝早くおきて出て来て、この時間まで誰も早く寝る人がいなかった、このパワーに私は脱帽です。
翌朝、皆さん6時にはおきて元気に朝食もしっかり食べました。私は10時から買い物タイムがあるので、それまでに幣舞橋の付近を散策しました。橋の近くに係留されている船が多く、漁師の人達に色々お話を伺う事が出来ました。20トン位で1億5千万円の船で、サンマの時期は東北から釧路方面に来て、そこからロシアの海域まで許可のある船は行くそうです。ロシアでの操業をする時は領海で許可証の点検をする場所がある。宮城の船はMGと何桁かの数字の看板のような板を操縦席の横に見えやすく付けていました。一度漁に出たら一ヶ月位は家に帰らないそうです。東北漁師の強さ、やさしさに触れた一時でした。あとは、お土産を買って、帰札するのみでした。
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