全国夜間中学校研究大会
第57回 全国夜間中学校研究大会参加報告
2011年度
始めて知るものの大きさ
2年スタッフ 吉田 恵美子
12月2日(金)3日(土)、東大阪市民会館を会場に全国夜間中学校研究大会が開催された。
1日目、午前・開会行事・全夜中研総会・主題提起・浅野慎一さん(神戸大学大学院教授)の記念講演が行われました。昼食休憩の後、領域別分会会・学校見学公開授業(大阪府、奈良県の9中学校)と続きました。
義務教育未修了のまま置き去りにされた人たち、日本語がわからない外国からの人々、戦後の混乱期に学齢期を迎えた人たち、云われのない差別により教育を保障されなかった人々、様々な理由の人達が学びを必要としている現実がある。自主で出来ることの限界、公立が8都道府県35校にしか設置がないことや、公立だからの問題点(形式卒業生の受け入れ)があるなか、領域別分科会にパネラーとして出席された、工藤さんの「広い地域の北海道にスクーリングができるセンター校の役割を担う公立中学をつくりたい」の発言に、今後の夜間中学の望ましい方向ではとの賛意がのべられた。
公開見学授業に行った天満中学は10代〜80代の(日本、中国、韓国、タイ、フィリピン)生徒さんが10数名一クラスの専用教室で学び、羨ましく感じられた。
2日目、午前オープニング(朝鮮にルーツのある生徒による歌)・生徒会からの報告(大坂、兵庫、奈良)、生徒・学習者体験発表(公立中…近畿の東生野中、広島の二葉中、関東の双葉中、自主夜間中…北九州の城南中)、各地の自主夜間中学からの活動紹介と報告、岩橋夜間学級(和歌山)による報告と歌、「夜間中学生の歌」斉唱。昼食休憩の後、教科別分科会(日本語A・B、数学、社会、理科、外国語)、専門委員会報告、閉会式行事と続きました。午後の教科別分科会、閉会行事に平行して生徒、学習者交流会も行われ、2日間が終りました。
オープニングの歌と民族衣装の華やかさ、体験発表の舞台にたった生徒と学習者の覚悟、各地の自主夜間中学の活動と活動する中での思い、北海道では考えられない民族や新渡日の問題。少し注意をしてみるとコンビニのレジでも働いているし、飲食店でも従業員は自国の言葉で話し合っている。そんな事が普通になっている現在、多様なニーズに応える夜間中学は、ますます必要性が大きくなると思われます。
教科別分科会は、日本語Bに参加しました。30分の短時間でしたが、識字と云うことで、ひらがなカタカナが読める人の教材に新聞を使った授業や、写真を見て詩を作る学習に取り組み、言葉に対する感受性や活字になる事の喜びを感じてもらいたいとの事です。
9月24日付け「毎日新聞」余録に釜石小学校歌の一節が引用され、やさしい言葉で希望を膨らませ、防災の心得も教えてくれる。釜石小学校歌の作詞者は「ひょっこりひょうたん島」の作詞もした井上ひさしさんだ。「ひょっこりひょうたん島」は釜石市の三貫島や大槌町の蓬莱島がモデルと言われる。〈 (1)いきいき生きる いきいき生きる/ひとりで立ってまっすぐ生きる/困ったときは目をあげて/星を目当てにまっすぐ生きる/息あるうちはいきいき生きる (2)はっきり話すはっきり話す/びくびくせずはっきり話す/こまったときはあわてずに/人間についてよく考える/考えたならはっきり話す (3)しっかりつかむしっかりつかむ/まことの知恵をしっかりつかむ/困ったときは手を出して/ともだちの手をしっかりつかむ/手と手をつないでしっかり生きる 〉
守口中学夜間学級で教材としたとのこと。校名の入っていない校歌でも歌えるとの発言もあり、インターネットでメロディーも聴く事ができるとの事、機会があれば聞いてみたいと思います。
スタッフ1年目で、他校の公開授業を見学したいとの思い出参加した全夜中研でしたが、公立中にも自主中にもそれぞれの問題がある事が重く感じられ、実際にその場に行き始めて知るものの大きさに気づかされる思いがした2日間でした。
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