札幌遠友塾自主夜間中学 20年の集い
祝電、祝文の紹介
[ 祝電 ]
函館遠友塾 代表 今西 隆人 さん
札幌遠友塾開校20周年おめでとうございます。
20年間、心あたたまる学びの場を支えてこられたスタッフの皆様、そして札幌遠友塾で学び、学んでこられた受講生の皆様のますますのご発展を、道南の地よりお祈りいたします。
[ 祝文 ]
自主夜間中学旭川遠友塾 代表 古野 博明さん
札幌遠友塾自主夜間中学の設立20周年、まことにおめでとうございます。2008年4月に開校した自主夜間中学旭川遠友塾から、札幌遠友塾が20周年の集いを迎えられましたことに対し、一言お祝いのご挨拶を申し上げます。
1990年に、さまざまな事情で義務教育を修了できなかったり、形のうえでは中学校を卒業はしたけれども、さまざまな事情で実際には十分な学習の条件や環境に恵まれなかったりした人々のために、北海道にはじめて「自主夜間中学」を名乗る私塾が設立されたのは実に画期的なことでありました。以来20年間に約400人の方々がこの私設夜間学校の門をくぐり、たがいに学び合い励ましあってこられました。この事実はスタッフおよび受講生のみなさんの奮闘努力の結果であって、旭川遠友塾としてもその業績に対し、心から敬意を表するものであります。またその20年の足跡に深く学ばせていただく所存にございます。
考えてみますと、人の一生にはかぎりがありますが、生まれてから死ぬまで、人間というものはどういうわけか自分を伸ばしたくて伸ばしたくて仕方がない。素質がどうであろうと、どんな能力をもっていようがいまいが、そんなことはおかまいなしに、そう願ってやまない不思議な性質をもっているようであります。幼少のころから、学童期青年期はもちろん、大人になりやがて老齢の時期を迎えても、何人もそういう気持ちにかわりはなく、そして教育というものは、どうみてもそういうひたすらな人間の想いを助ける仕事というほかないように思われます。だからこそ、公教育、とりわけ義務教育があぶないといわれております今日、正規学校の役割がますます重要視されなければと思われるのですが、と同時に、札幌遠友塾が20年にわたって実証してこられたように、学校や勉強に恵まれなかった人々のニーズに応える私設のフリースクールも、公共社会の持続にそって作用するものとして地域社会にあっていいはずです。
おくればせながら昨年旭川に「自主夜間中学」を起ち上げるために、一人一人の自発的な志に基づいて集まった私たちの共通の想いも、こういうニーズに応えようとしたところにありました。私たちはまだ1年半の貧しい経験しかもちませんが、その間あれこれ試行錯誤し、マインドサポーターをふくめさまざまな人々の支援を受けて、いろいろなことを学びつつあります。たとえば、人には違いがあり、だれ一人として他人と同じということはない。何かを知りたい、何かができるようになりたいという、その何かも、人によってさまざまです。がんばって勉強したいとおもう時期や年齢も違っていい。と言いますか、違ってくることを私たちは認めてかからなければいけないということもその一つです。その背後には個人個人のそれこそさまざまな事情が控えているからです。けれどもがんばって勉強してみたいというのはみな同じで、老若男女、古今東西を通じて同じことがいえるということもここに付け加えることができます。そして私たちもまた独自に議論を交わして、同様に、明治27年札幌に誕生し、昭和19年に軍の指示により廃校のやむなきにいたった、札幌遠友夜学校のふるきよき伝統にちなんで、自主夜間中学旭川遠友塾を名乗ることにしたのです。遠友夜学校の創設者新渡戸稲造の高邁な理想のようには、なかなかいきませんが、なんとかがんばってこの試みを継続させたいと思っているところでございます。
勉強は楽しいことばかりとはかぎらないけれども、なんとしても中学程度までは学んでみたいという人がいて、そういう人がいるのであれば、手弁当でもがんばって教えてみようという人が集まってきて、そういうボランティアの活動は地域社会、公共社会にあっていいと共感して裏方の仕事に参加する人もいる。学ぶために門をたたいた者も、教えることに意欲を掻き立てられた者も、これら両者を裏側から支えようとしている者も、この地道な営みを通じて、互いに学び直す。こんなことを考えながら私たちは、この一年半の経験をふまえて「自主夜間中学」の試みがそういう人々の学び合い、励まし合いの場になることを願っているわけなのであります。生涯にわたって学習することを、そういう人間本来の営みを、諸個人に共通する問題としてもっともっと大切にしたいと考えております。
また札幌遠友塾の20年の歴史にもしっかり学んで、みずからの歩みを一歩一歩すすめてゆく所存にございますので、今後もいろいろとご教示いただくことがあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
本日は本当におめでとうございました。
[祝文]
全国夜間中学校研究会・すべての人に義務教育を!専門委員会 委員長 関本 保孝 さん
札幌遠友塾20周年、本当におめでとうございます。
札幌遠友塾と全国夜間中学研究会との強い関わりは、2002年度東京・荒川大会から始まりました。この大会で、全国各地への公立夜間中学校開設を目指し、日本弁護士連合会に人権救済申し立てを行う「人権救済の申立書(骨子)」を採択しました。大会のシンポジウムに代表の工藤さんが参加され、遠友塾のみなさんの学びへの思いを熱く語られ、感動したのをよく覚えています。
その後、日本弁護士連合会に桑山さんや茶木さんはじめ生徒さん・スタッフのみなさんが陳述書や作文・資料を提供してくださり、2006年8月10日の日弁連の国への意見書提出につながりました。この間の札幌遠友塾の取り組みは、大変素晴らしく多いに刺激を受けています。きめ細かい毎週の学習会の取り組みはもちろんのこと、作文等の交流や多面的で充実したホームページ。向陵中学校の教室が使用できる前後の向陵中学校との心あたたまる交流等々、わたし自身の心もあたたかくなり、頭がさがる思いです。
また、札幌市や北海道の行政及び議会への積極的な働きかけや、札幌遠友塾関係者等が中心となり、2007年5月に設立した「北海道に夜間中学をつくる会」の多様な内容の目標、そして北海道での幅広いネットワーク作りなど、将来を見すえた取り組みもとてもいいもので非常に参考になります。去る7月26日の東京・江東区での全国夜間中学校「すべての人に義務教育を!専門委員会」主催の交流会には、遠友塾より7名も参加してくださりありがとうございました。工藤さんをはじめ、2名の生徒さんの素晴らしいお話を聞け、まわりの方々からも「感動した」と感想が寄せられました。
この間の全国夜間中学校研究会のその他の取り組みを少し紹介します。
9月18日(金)には、全夜中関係者5名で千葉市教育委員会を訪問し、第2次5カ年計画に盛り込まれている「中学校夜間学級の検討」の進み具合について話を聞きました。現在定期的に市教育委員会内で設置検討会議を開き、来年5月には最終的な「夜間学級設置案」が出されるとのことです。担当の方からは大きな熱意を感じ、「公立夜間中学校開設までそう遠くない。」との嬉しい感触をえました。また9月25日(金)には全夜中研専門委員会で、都立墨東特別支援学校・かもめ分教室・成人グループを見学することになっています。ここでは現在小学部・中等部・高等部で計8名、かつての義務教育就学免除・猶予により学校へ通えなかった成人の障がい者の方々を昨年度より受け入れています。これは昨年12月の全夜中研第54回大会で採択した「すべての人に義務教育を!21世紀プラン」の中の「既存の学校での義務教育未修了者の受け入れ」を具体化するものであり、大変注目しています。
今後ますます、札幌遠友塾が発展し、多様な義務教育未修了者の大きな灯台・母港となり、公立夜間中学校開設を始めとした行政の施策が充実するよう、心よりお祈りします。ぜひ、また札幌遠友塾におじゃまし、みなさんと交流できる日を楽しみにしています。
では、みなさん、お体に気をつけ、楽しく学び、ご活躍ください。
[祝文]
(氏名のみ紹介)
札幌市議会議員 宗形 雅俊 さん
北海道議会議員 道下 大樹 さん
(資料のページに全文を掲載しますので、ご覧下さい。)
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